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第84回展観 
−身近にあったグラフィック・アート−
日本のお札

会 期 | 1999年10月23日(土)~11月7日(日)

展覧会概要

 お札、すなわち紙幣とは紙製の通貨です。紙幣は金属貨幣よりもかなり遅れて登場しました。経済が未発達の社会ではその素材そのものに希少価値を有し、その重量によって取引を行う秤量(しょうりょう)貨幣(=実貨)しか信用されまでせんでした。経済が成熟するにつれて携帯、取引の利便性を追求した貨幣が登場します。紙幣は素材自体には価値が無く、発行者の信用のみによって価値が成り立つ名目貨幣です。日本では『建武年間記』に建武元年(1334)の後醍醐天皇による紙幣発行の記録が見られますが、現存品も無く、その事実を否定する向きが強いと思われます。現存する日本初の紙幣は慶長年間(1596〜1615)に伊勢で流通した山田羽書(はがき)で、ここから日本の紙幣誌が始まると考える方が妥当でしょう。
 本展観では江戸初期から現代までの紙幣について、歴史、摂津と播磨、デザインという三大テーマを設けて陳列します。歴史では江戸時代から明治時代と過渡期を経て現代に至るまでに発行された紙幣を概観し、摂津と播磨という近隣の親しみやすい地方に紙幣を詳しく紹介します。デザインでは江戸時代のお札の文様と、特に近代紙幣における構図や装飾の美しさを検証します。
 最後に、本展観の開催にあたり、貴重な資料をご出品いただきました、大阪府立中之島図書館、大和銀行貨幣資料館、また本図録作成にあたり、資料掲載のご許可をいただきました大蔵省印刷局記念館、日本銀行貨幣博物館、宮内庁侍従職、宮内庁正倉院事務所、東京国立博物館ならびに関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

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