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ちょうしょうそ  ほうおうふつ
張紹祖 倣王紱山水図

縦23.0cm 横50.3cm
清前期・雍正12年(1734)

山水画の扇面を掛け軸に改装したものです。さまざまな種類の樹木や葦が茂る川辺に、竹林や岩に囲まれた茅屋があり、奥には対岸の山並みが見えています。

この作品は水墨のみで描かれていますが、濃墨と淡墨を使い分け、互いに引き立て合うように配置することで、墨色の美しさを引き出すことに成功しています。ときおり交える渇筆も効果的で、画面の中に緩急さまざまな筆法を同居させています。

筆者の張紹祖は婁県(上海市松江区)の人で、友人の王昱に画を学んだといいます。その王昱の師である王原祁は、清代初期に正統派文人画を築いた「四王呉惲」のなかでも、董其昌が提唱した文人画の理念を最も忠実に実践した人物です。一見地味な墨画のなかに多様な筆法を盛り込み、筆致や墨色の美的効果を追究するのは、まさに正統派文人画の特徴です。

款記によれば、本作は明代初期の文人画家・王紱に倣ったといいます。王紱は渇筆の山水画や、枯木竹石などの画題を得意としましたが、本作もこうした王紱のイメージをよく捉えています。正統派の二大理念、「筆墨の探求」と「古典の模倣」をよく体現する作品といえます。
(飛田)
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