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      さんそくばん
青磁蓮華紋三足盤

径31.8㎝ 高8.0㎝
六朝末~隋代(6世紀末~7世紀初頭)

円形の盤の裏に二重の環が3つついています。盤は上から見るときれいな円形に見えますが、横から見ると足のない位置の縁がわずかに上がっているとわかります。

盤にはくすんだ青緑色の釉薬がほどこされ、縁の近くに釉溜まりがあります。釉薬の細かなヒビである貫入(かんにゅう)と、鉄分が浮き出して黒点となる鉄粉が全体にはっきりと見えます。

盤の表面中央に蓮華紋を浮彫しています。珠紋のみを線彫し、粗雑な点が惜しまれます。蓮華紋の外側に雲気が渦を巻いたような紋様と、盤の外周に伸びた蔓草の間から芽を出したような紋様を線彫します。線は細く浅いですが、それぞれの特徴から流雲紋と唐草紋であると判断でき、しっかり描き分けられているとわかります。

台北の中央研究院歴史語言研究所が所蔵する河南省安陽市小屯出土の三足盤は、大きさは径26.5cmと小さいですが、流雲紋の表現や環状の足がよく似ています。

また、安陽市張盛墓から出土した四足盤は、紋様はありませんが、器形全体が似ています。この墓から、被葬者が595年に没したと記す墓誌が一緒に出土しており、盤の製作時期を推測する手がかりになります。

本品は色調が青みがかるため青磁としましたが、類例はいずれも白磁とされています。青磁と白磁は焼成温度や釉薬の成分の違いによって呼び分けられ、陶磁器研究では六朝末まで青磁が流行し、隋以降は白磁へ交代するといわれています。本品は青磁と白磁をつなぐ資料として、重要な情報を提供できるかもしれません。
(馬渕)
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